ヒノダクタイル鋳鉄とは
鋳鉄とは、鉄の基地の中に微細な黒鉛、あるいは炭化物が分散した複合材料であり、材料の組織を制御することによって多様な材質を実現できます。ヒノダクタイル鋳鉄は、大型車両が通行する過酷な道路環境に設置されるマンホールふたの専用材質として当社が開発した材料で、車両通行時に加わる荷重や衝撃を考慮して強さと伸びが最適化されており、一般の鋳鉄と比較して耐疲労に優れています。また、鋳鉄製品は溶融させた金属を型に流し込んで製造するため、応力設計に基づいて導き出された最適で複雑な形状の製品を一体で製造できるというメリットがあります。
化学成分や冷却速度を調整し、
黒鉛と基地組織を
コントロールしています
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強度特性の構成要素
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ヒノダクタイル鋳鉄の組織写真
材料特性に優れた
ヒノダクタイル鋳鉄
「鋳鉄はもろくて割れやすい」という鋳鉄のイメージは、昔から家庭用品等に使用されていた片状黒鉛鋳鉄(FC)に対するイメージかもしれません。一方、球状黒鉛鋳鉄(FCD)は十分な強度と伸びを有しており、強度部材として幅広く利用されています。鋼材と比較しても、耐摩耗性、耐久性、耐候性に優れています。
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黒鉛形状と疲労亀裂伝播による強度の比較
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黒鉛(球状のもの)
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球状黒鉛で亀裂伝搬を抑制するため強度が高い
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黒鉛(線状のもの)
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線状黒鉛に沿って亀裂伝搬しやすいため強度が低い
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表.球状黒鉛鋳鉄と鋼材の材料特性
鋳鋼よりも優れた耐摩耗性
ヒノダクタイル鋳鉄は、球状になった黒鉛の潤滑効果によってしゅう動部品との間の摩擦抵抗が減少するため耐摩耗性に優れており、鋳鋼と比較して凝着摩耗を低減することができます。
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ヒノダクタイル鋳鉄
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鋳鋼
溶接継手よりも優れた疲労強度
鋳鉄は鋳造による一体成形が可能なため、溶接構造物に対して疲労強度を向上させることができます。疲労強度の比較において、鋳鉄継手は溶接継手の2倍以上優れており、疲労耐久性部材として活用ができます。
鋳鉄による最適形状の実現
鋳鉄製品は、応力設計に基づいて導き出された最適で複雑な形状の製品を一体で製造できると言うメリットがあります。鋳鉄製品は、自動車部品や産業機械、当社が開発してきたマンホールふたなど、数多くの製品に採用され、私たちの生活を長年支え続けていると言う実績があります。